2015年7月の記事一覧

ルールの裏側にある基本精神 ~ベンゲルのスポーツマンシップ~

(今日の文章はちょっと長いですが、おつきあいください)


1999年2月、サッカーの母国イングランドのFAカップ5回戦。


世界的なビッグクラブであるアーセナルが、格下といわれるシェフィールドを相手に苦戦を強いられていました。優勝が義務付けられているアーセナルにとっては絶対に負けられない試合でした。


試合は、後半の半ばを過ぎても1-1と緊迫した展開。
後半30分、格上のアーセナルのゴール付近で果敢に攻撃を仕掛けるシェフィールドの選手がアーセナル陣内で倒されてしまいます。ボールはアーセナルの選手がかろうじて大きくクリアし、シェフィールドのゴールキーパーの手の中におさめられました。


主審の笛は鳴りませんでしたが、倒されてしまったシェフィールドの選手は起き上がる気配がありません。


味方の選手が怪我をしたかもしれないと思ったシェフィールドのゴールキーパーは、手当てを受けさせるためにわざとボールをピッチの外に蹴りだして試合を中断させました。サッカーの試合ではよくある光景です。


外にボールを出したのはシェフィールド側ですから、試合はアーセナル側のスローインで再開されます。ルールには書かれていないのですが、この場合、アーセナルの選手はシェフィールドのゴールキーパーに向かってスローインし、相手にボールを返すのがサッカーの慣習です。正々堂々と奪ったボール以外は相手に返すというスポーツマンシップです。


実際に、アーセナルの選手はシェフィールドのゴールキーパーに向かって、「どうぞ」とボールを投げ返しました。

ところが、ここで事件が起こります。


あろうことか、そのボールをアーセナルの選手が奪い取り、何とシェフィールドのゴールにシュートを放ち、得点してしまったのです。ルール上はこの得点は認められます。


そのためこれが決勝点になり、アーセナルは2-1でシェフィールドを破って準々決勝進出を決めました。


しかし、驚いたことにアーセナルの監督のベンゲルは、試合終了と同時に「2点目のゴールは、ルール上は許されても、スポーツマンシップに反するものだ。だから我々は再試合を提案したいと考えている。」とコメントしました。


ベンゲルは日本のJリーグの名古屋グランパスでも監督を務めたことがありますが、サッカー界では名将として知られており、「結果が重要なのではない。結果はすべてなのだ。勝利は何よりも優先されなければならない。」との信念を持っている監督です。

勝利こそがプロの目的と考え、誰よりも勝利を追及するベンゲルが、一人のスポーツマンとして、このゴールで勝利を得ることを望みませんでした。

ルールに書かれているかどうかが問題なのではなく、ルールが作られた基本精神=スポーツマンシップが勝利以上に大切なのだとの信念に基づいて、自ら試合を振り出しに戻し、手にした勝利を放棄したのです。


私はベンゲルの決断は非常に勇気のあるものだと思いました。そして、ベンゲルが何故サッカー界を代表する名監督と言われているのかが、この決断を通してよく理解できました。

さて、私たちの松伏高校にもルールがあります。生徒心得や校則等と呼ばれる約束事が学校生活を送るためのルールになっています。


ルールが作られた基本精神は、松伏高校に通う誰もが、平等に気持ちよく、安全に学校生活を送り、成長していけることにあります。


例えルールに書かれていなくても、ルールが作られた目的に照らせば、松伏高校生としてどのような行動をすべきか、どのような行動はするべきでないかが見えてきます。


「歩道を自転車に乗って走るときに注意しなければいけないことは何か」、「法律で禁じられていないのに、どうしてバイク免許取得やスマホの持ち込みは禁止されているのか」等々。
ルールの裏側にある基本精神を観察する眼を持ったときに、初めてその意味が見えてくるようになります。


松伏高校生は非常によくルールを守る集団です。今後の学校生活で、ルールに書かれていない基本精神にまで思いを巡らせる習慣が身につけば、みなさんがさらに洗練された大人へと成長していくことは間違いありません。


生徒諸君、2学期以降、今までとは違った物の見方や考え方を身につけてみませんか。

 


 

学期末に思うこと

先週は期末考査と答案返却がありました。

今週の金曜日の終業式まで残すところ1週間。

1学期がもう直ぐ終わろうとしています。


みなさんにとって、平成27年度の1学期はどんなものだったでしょうか。


1年生は入学当初の緊張もほぐれ、高校生活にすっかり慣れてきた様子ですね。

勉強も部活動も学校行事も、中学校のころと比べると質も量も大幅に変化したのではないでしょうか。

それにもかかわらず、大きな戸惑いも見せずにしっかりと高校生活に適応しているみなさんを見ていると頼もしく感じます。
この調子で夏休み以降も頑張ってもらえたらと思います。


2年生は中堅学年としてしっかりと活躍してくれました。

学校行事のたびに感じていましたが、3年生が作ってくれた松伏高校の良き伝統をしっかり受け継いでくれている姿に、来年は最上級生として松伏高校を引っ張っていくのだという気持ちが伝わってきました。

部活動等でもこの時期あたりから事実上の中心学年となっていきますので、大いに活躍してくれることを期待します。


3年生はいよいよ進路活動が本格化して、毎日が気を抜けない緊張の連続だと思います。就職希望者も進学希望者も、もともと皆さんが持っている素直な心や、この学校で身に付けてきた真面目に物事に取り組む姿勢があれば、必ず良い結果が出るはずです。

不安なことがあれば一人で抱え込むのではなく、担任の先生や進路の先生に遠慮なく相談して、みんなで力を合わせて前に進んでいきましよう。

みなさんが自分の進路希望を叶えられるように、私をはじめ職員全員でみなさんを応援していきたいと思います。

健闘を祈ります。